本研究はソロモン群島のBaga島の森林中の土壌について作物栽培に関係深い項目につき分析実験したものである.土壌分析の結果から考察すると, 本土壌は熱帯性黒色土の一部に属すると考えられる.すなわち
表土
は極めて腐植に富んでおり〔A-1 (
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) 15.9%, B-1 (
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) 15.00〕, 塩基飽和度がA-1 (
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) で43.5%, B-1 (
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) で51%で溶脱も割合に進んでいない.従つて本土壌は石灰質の母材より発展したレンジナあるいはその退化型とも思われる。
栽培上の見地から本土壌を見るとA-1 (
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) 29.1m.e. (ミリグラム当量) の塩基置換容量を持ち, B-1 (
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) は30.5m.e.と比較的大で養分保持力が高く, また保水力もPF3で30%前後を示し, かなり大であるので栽培に適するものと考えられる.
塩基類はA-1 (
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) において, CaO7.13m.e., MgO 3.23m.e., K
2O 0.39m.e.で合計12.65m.e.であり, B-1 (
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) においては, CaO6.05m.e., MgO6.71m.e., K
2O 0.56m.e.で合計15.52m.e.で両
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共に置換性塩基は多い.
有効体のP
2O
5, K
2Oについては, 乾土1009当り, それぞれ10mg, 5mg以下の時には施肥の必要があるとされているが, 本土壌についていえば, A-1 (
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) はP
2O
5が19mg, K
2Oは20.4mg, B-1 (
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) はP
2O
512mgsK
2O 30.4mg含まれており, 1~2年の栽培には窒素のみの施肥でかなりの収穫が期待できよう.
易耕性の見地からみると
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は壌土で腐植に富んでおり障害は少ないと考える.
以上から本土壌は帯土壌の中でもかなりすぐれた土壌と考えられる.
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