本研究の目的は, 縦断的研究により父・母・子の関わり合いと子どもの発達的変化との関係を明らかにすることにある.本報告では, ケース・スタディ的に4組の親子を対象として, 課題解決場面において父親と母親が, 子どもともつ相互作用の交渉単位 (以下CUと記す) である
言語行動と非言語行動
の内容, 子どもの発達との関係, 父親と母親における差異について検討し, つぎの結果を得る。これらの結果が, 一般化し得るものであるか, 否かについては, さらに検討する必要がある.
1) 母親の
言語行動と非言語行動
の機能は, 子どもの年齢に伴いより相互作用のあるものへ変化するが, 父親の場合はそのような有意な変化は見られない.
2) 1・2歳時ともに父親と母親は, 自発的
言語行動と非言語行動
における情報伝達的なCUを, 他のCUより高い比率で子どもに働き掛けている.
3) 相手の反応を期待した
言語行動と非言語行動
においては, 父親と母親の傾向が類似している.特に, 父親が積極的参加をしていた家庭では, 父親も母親も指示的なCUにおいて有意に高い比率を示している.
4) 相手の働き掛けに応じる
言語行動と非言語行動
においては, 父親も母親も受容的であり, 子どもの年齢による有意な差は見られない.
5) 子どもの課題の取り組み方と父親・母親の関わり合い方は, ポジティブな関連をもつことが示唆される.
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