本研究は,情報倫理意識と道徳的規範意識の関係を知るために,中学・高校・大学生を対象に行った実態調査の分析結果である.情報倫理意識と道徳的規範意識に関し,社会的迷惑に対する他者認知と自己認知の測定尺度を用いて,中学・高校・大学生に調査を行い,性別や校種別の意識について分析し考察した.調査結果について因子分析を行い,得られた因子得点について分散分析を行った.その結果,情報倫理意識と道徳的規範意識との間に有意な相関関係がみられた.性別では,女子は男子に比べて意識が高く,迷惑認知では,他者認知が自己認知に比べて有意に高い結果となった.また,情報倫理意識では,高校生の意識の低下が顕著であった.これらのことから,高校生への情報倫理教育は重要であり,情報倫理意識と道徳的規範意識を共に高めていく教育の必要性が示唆された.
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