成長ホルモンに依る小人症の治療の対象は, 現在我が国では、所謂下垂体性小人症のみに限られており, ヒト成長ホルモンの大量入手が困難な為, もっとも適応の有る下垂体性小人症に対してすらすべての患者を治療する事が出来ない状態である。しかし,
遺伝子工学
によって作製されたヒト成長ホルモンの製剤化も進み, 1~2年の後にはその実用化が可能になる状態となってきた。そこで米国では, 他の原因による小人症の治療に対しても本剤の効果が検討され始めており, 又我が国でも下垂体性小人症に対し,
遺伝子工学
で作製されたヒト成長ホルモン剤の臨床治験が行われている。そこで本講演では1) ヒトの下垂体より抽出した成長ホルモンによる下垂体性小人症治療の現況, 2)
遺伝子工学
によるヒト成長ホルモン剤の治験の現況, 3) 他の小人症に対するヒト成長ホルモン使用の展望について述べる。第2と第3の問題は, まだ実用面では一寸早いが, 他の分野を専門とする会員へ, 現状を紹介する意味で述べる。
抄録全体を表示