筆者らはこれまで,技術・家庭科の教科書を対象に,その表現の統計的分析を行ってきている。具体的には,木材加工領域や電気領域の教科書本文をテキストデータベース化し,表現上の変遷を種々の調査結果から説明をしている。たとえば,拙稿(1997)では,漢字調査の結果を基に,あらかじめ提案した専門語の使用例について,格助詞との結合に考察を深めている。本稿では,これまでの研究を礎として,現行の
開隆堂出版
と東京書籍の2社の教科書(平成8年1月15日文部省検定済版)の計量的相違の考察を深めている。これまでの通時的視点からではなく,共時的視点に立った教科書を捉え,その結果として,現在発行されている2社の教科書の表記・表現を考える。さらに,現行教科書の漢字の使用率分布から,専門語と漢字の関わりについて考察している。
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