KhilmiのGompertz型自己間引き曲線は林分の自己間引き過程を記述するモデルであるが, その自己間引き係数の値を直接的に求めるのは一般的に困難である。そこで本論では既存の資料を用いて自己間引き係数を推定する方法を考えた。まず林分密度管理図上に表現された自然枯死線を求めるときと同じ仮定からGompertz型自己間引き曲線の自己間引き係数の導出を試みた。求められた自己間引き係数は樹高成長曲線の係数のみと関係していた。樹高成長がGompertz式で表現される場合には樹高成長曲線の林齢の係数と等しく, 樹高成長がRichards式に従う場合も, ある仮定に基づけば林齢の係数に一致した。次にSpurrら, Usoltsevのデータを用いて適合性を検討した。成長曲線の変数を独立にして本数密度, 樹高を当てはめると係数間の関係は認められなかったが, 係数間の関係を等しいと仮定し, 値を固定して当てはめてもAICの大きな増加はみられなかった。最後に, 本論に従って国内の林分データにおける本数減少の予測結果を行い密度管理図上の自己間引き曲線 (只木モデル) と比較したところ, 同程度の精度が得られるものと考えられた。
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