P.M. Diracによって提唱されたデルタ(δ)函数は,物理学および工学技術上数多くの分野でその解析上の有効さを発揮している.
すなわち応用数学上では,複素積分における発散場の解析を容易にした.さらに物理工学上では,電藏や質量等の分布に対する密度としての表示をなし,さらに電磁波,粒子,濃度,温度および熱等のポテンシアルの瞬間入力や点源としての物理的意味を与えている.
このデルタ函数について,超函数上の位置づけを簡単に示し,積分上のテスト函数に対する作用素的性質と物理現象上の具体的応用例について解説するものである.
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