1990年代の日本経済、そして経済を担う日本
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の経営について内外のアナリストは周知の通り、「失われた十余年」 a "lost decade"と主張している。確かに1990年代を通じて今日まで日本経済の低迷、
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業績の悪化、株価並びに時価総額推移等いずれの指標をとっても失われた十余年と云うことは出来るが、その背景には1980年代を通じてバブル経済を生んだ真の意味での経営とガバナンスの不在がある。「失われた十年」は1980年代に求めることが出来る。而るに1990年代後半から今日にかけて多くの日本
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は真の意味での経営に覚醒し、ガバナンス改革を含む健全経営の主要素において「進化」を遂げてきた十年である。
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経営に見る「進化」は以下七つの"C"で象徴的に捉えられる。・Business Creeds経営理念)・CEO(Executives and managers、最高経営責任者)・Corporate Culture(
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風土・
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文化)・Corporate Governance(コーポレートガバナンス)・Compliance/Code of Conduct(倫理・法令順守)・Corporate Social Resporisibility(
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の社会的責任)・Culture and Business Practices within Particular Industries(業界風土と取引慣行) 七つの"C"に象徴される
企業経営の根幹には企業
倫理Business Ethicsがある。そうした「進化」の
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群のなかでトヨタ自動車の優れたコーポレート・ガバナンスの事例を七つの視点から考察する。進化の
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群の傍ら、経営劣化を生んでいる「退化」の
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群の存在がある。そして日本の
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社会は「進化」と「退化」の二極化現象を生んでいる。本稿では「退化」の
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群を2004年における十大
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不祥事を通して考察し、
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不祥事の象徴的存在である三菱自動車工業の不祥事概要と不祥事要因に焦点を当てる。「進化」と「退化」の日本
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の実態とその要因を追求することを通じて健全経営と望ましいコーポレート・ガバナンスの有り様を提示する。
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