The notion of Japanese subject has been controversial. Some linguists take the existence of subject for granted, and others deny the usefulness of the concept. The question regarding the Japanese subject has not yet been settled so far. It seems to me that some linguists collect only written data and that others collect conversational data. This might be one of the reasons for the controversy. With regard to his issue, Hoye (2008:6) states that the controversy over a Japanese subject might stem from the confusing structure of the Japanese language itself, from a historical background where Japanese was strongly influenced by Western languages, from application of generative grammar theory to the Japanese language by a number of successful Japanese linguists. In this paper, I will examine the actual conversational data I have collected for this research.

概念地図法は理科教育や環境教育において多様な目的で使用でき，その有効性は様々な実践で報告されている。この概念地図法を用いて作成者の概念構築の把握を図る際に，その主観的側面の把握を容易にする目的で，概念地図作成時に「自分」ラベルを導入することを試みた。この手法は，生物を題材とした学習においては更なる利点が考えられる。それは即ち，学習内容と自分自身とを関連づけてとらえることが，生物学的な内容に関する有意味学習を行うために有効な手段となることである。これは，分類学にのっとりヒトの下位に自分を位置づけ，多様な生物の中にある一種の一個体である「自分」概念を構築し，他の生物と比較することで生物概念の再構築を行うことを示す。また「自分」概念の構築は，さらに，学習の主体であり，身近な環境の中で生命活動や社会活動を営んでいる個の「自分」を振り返る契機にもなると考えられる。本研究では，複数の事例研究から，「自分」ラベルを導入した概念地図法が，理科教育や環境教育の場で，上述の利点をもつ有効な手法であることを示している。

幼児の身体表現活動における保育者のオノマトペは，幼児一人一人のイメージを広げ，多様な動きに導くことを目指している。それゆえ，保育者の用いるオノマトペから幼児が想起するイメージと動きの関係は詳細に検討されなければならない。そこで，本研究は，幼児の身体表現活動において，幼児一人一人がオノマトペから想起するイメージとあらわれる動きについて，イメージと動きの関係の3つのタイプ（村瀬・寺山，2020）と〈自分〉概念に着目して検討することを目的とした。本研究は，幼児に対する実験と観察によって明らかにされた。対象となった幼児は5歳児16名（男子5名，女子11名）であった。実験は6つのオノマトペに対して行われ，オノマトペに対する対象者の反応が記録された。観察は5つの場面に対して行われた。本研究で明らかになったことは以下の2点である。まず，3つのタイプと〈自分〉概念には関係が見られた。次に，幼児の身体表現活動において，オノマトペによって幼児のイメージを広げ，動きを導く際には，〈自分〉ではないもののイメージから，〈自分〉ではないものになる動きを導くことが，多様な動きにつながる可能性があった。さらに，イメージを動きにあらわすことができるかどうかについて，想起したイメージが〈自分〉に近いものか，遠いものかという距離と，〈自分〉を他者から区別できていく発達過程という2つの観点で考えることができることが示唆された。

　山のチーズと呼ばれる長期熟成ハードチーズが，紀元前2000年には冷涼なアルプス山岳地帯でつくられていた。フレッシュチーズと熟成ハードチーズの関連性の分析は，ヨーロッパにおけるチーズ発達史の再構築にとって極めて重要な論考となる。本稿では，イタリア北部山岳地帯のドロミテ地域を事例に，熟成ハードチーズとフレッシュチーズの加工工程を把握し，フレッシュチーズから熟成ハードチーズへの発達史過程について酪農科学・人文地理学的に考察することを目的とした。フレッシュチーズは，レンネット添加，カッティング，脱水，加塩することによって加工されている。フレッシュチーズは，風味の向上のため，塩水に漬けたまま数週間静置し，熟成されるようになっていった。この熟成フレッシュチーズを，塩水から取り出し，空気中で乾燥化を進めると，ドロミテ地域でつくられているドロミテと呼ばれるチーズのような熟成ハードチーズとなる。空気中で静置するため，表面は乾燥し，形成された外皮が内部のチーズを守るようになる。山岳地域では，熟成ハードチーズは長期熟成ハードチーズへと更に発展していった。より望ましい熟成を進展させるために，チーズつくりには乳脂肪含量を低くした脱脂乳が利用されるようになった。カードからよりホエイを除去するために，カードは42℃まで加温されるようになった。ここに，ドロミテ地域でみられる山のチーズのような長期熟成チーズが誕生することになる。このような発達へと向かわせた大きな要因は山岳地帯の冷涼・半湿潤性であり，ヨーロッパ山岳地帯でなるべくして変遷したチーズの発達だったと考えられた。

It has long been believed that the Japanese are collectivists, whereas Westerners are individualists. Although this common view was found to be inconsistent with empirical evidence in many questionnaire and behavioral studies, it still derives credibility from Japanese researchers' intuitive interpretations of daily observations about Japanese culture. We investigated the validity of these interpretations in two questionnaire studies. As evidence of the common view, its advocates point out that Americans ask guests their respective preferences between drinks, whereas Japanese do not. In the first questionnaire study, Japanese and American undergraduates were asked how to choose drinks for guests. Contrary to the common belief, a majority of the Japanese respondents answered that they would ask guests' preferences. However, the proportion of asking was smaller for the Japanese respondents. In the second questionnaire study, Japanese and American undergraduates were asked what drink(s) to serve to guests. The answers from the Japanese respondents converged on Japanese tea, whereas those from the American respondents were scattered over a variety of drinks. This suggests that the proportion of asking was smaller for the Japanese respondents because they had the default drink for guests (i.e., Japanese tea), which had been established in Japanese history. In the first questionnaire study, the Japanese respondents did not endorse the intuitive interpretations of two Japanese words (i.e., hello and self) that Japanese researchers proposed as evidence of the common view. These results call attention to probable theoretical bias in researchers' intuitive interpretations of daily observations about their own culture.