目的 : 子宮頸部上皮内腺癌 (AIS) と診断確定した症例の術前細胞診の診断精度を後方視的に検討した.
方法 : 2005~2012 年, 円錐切除術または子宮全摘出術で AIS と病理組織で確定診断した 65 例を対象とした. 13 例は従来法に加え液状化検体細胞診でも判定した.
成績 : 術前細胞診の結果は, NILM 3 例, ASC-US 2 例, LSIL 1 例, ASC-H 1 例, AGC 5 例, HSIL 7 例, HSIL (CIS) 8 例, AIS 16 例, SCC 1 例, ADC 21 例. 術前細胞診上 AIS と診断されたのは 16 例であり 24.6%にすぎず, 特に 7 例 (10.7%) が HSIL (moderate) 以下と判定され, 過小評価であった.
LBC
法でも AIS の正診率は従来法と変わらなかった. 術前組織診にて, 高度異形成以上または AIS 以上と診断なく, 円錐切除術を施行した症例は 11 例 (16.9%) あり, このうち 7 例で AGC が 1~2 年持続していた.
結論 : AIS の細胞診の診断は困難で慎重な対応が必要である. AGC が持続する場合, HPV タイピング検査と診断確定のために円錐切除術を考慮すべきと考えられた.
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