マツバボタンの雄ずいは, 花糸に曲げる刺激を与えると, それと反対の方向に倒れる運動を行なう. マツバボタンの花に一本だけ雄ずいを残し, これを解剖顕微鏡で観察したり, 8mmのフィルムに連続撮影をしたりして運動の速度, 方向, 刺激の与え方による変化などについて調べた.
刺激に応じて運動を行なった直後, その雄ずいは次の刺激に対して反応を示さないが, しばらく放置しておくと, 前と同様の運動を行なうようになる. 完全に同じ運動をくり返すための刺激の間かくは, 同一方向へのときには約12分, 反対方向への運動のときには約3分である.
刺激(花糸を曲げる角度)が大きいほど雄ずいは大きな運動を行なうが, 曲げておく時間が短いほどよく運動を行ない, 雄ずいを4秒以上曲げておいてからはなすと, 反対方向への運動を全く行なわなくなる.
雄ずいの運動は, 花の内部, 外部に向かって行なわれるだけでなく, いずれの方向に対しも同じように倒れる運動を行なう.
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