日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
甘藷デンプン粒の尿素変性とプルラナーゼによる可溶化
佐々木 堯林 純子石田 信昭貝沼 圭二
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1980 年 27 巻 10 号 p. 489-497

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抄録

甘藷デンプン粒は, 20℃, 5M尿素で膨潤および溶解が始まり,尿素濃度が高くなるにつれて,膨潤およびデンプンの溶解度が増大した。 10M尿素では約13%のデンプンが可溶化された。
尿素処理したデンプンのプルラナーゼによる分解可溶化は,デンプンの尿素変性度合と相関関係は認められず,あるレベル以上の変性を受けると急速に進行した。10M尿素処理デンプンのプルラナーゼ処理で,約67%のデンプンが可溶化された。
10M尿素-プルラナーゼ処理にも抵抗性のデンプンは約20%であった。
デンプン粒は尿素により構造上の変性を受け, 7M以上の尿素で2~3倍に急速に膨潤した。膨潤デンプンはヨウ素により内層部は青色に,外層部は紫褐色になり,洗浄すると内層部のデンプンが溶出して,袋状の外層部からなるものに分画された。
この袋状デンプンのプルラナーゼ処理により,デンプン粒の表層と考えられる殼が残査として得られた。

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