抄録
本研究では,シンジとテツオという2名の男児を年長後期から小学校1年スタート期まで縦断的に追跡し,彼らの「造形活動に向かう態度」を事例的に明らかにした。方法としては,「態度」を構成する3つの要素の観点から子どもたちの造形活動を分析し,2児がどのような「造形活動に向かう態度」をもっているかを明らかにした。その結果,年長後期と小学校1年スタート期に子どもたちがもつ「造形活動に向かう態度」には,継続してみられるものと,小学校の文化の中で新たに形成されるものとがあることがわかった。この結果について,個人差に配慮した造形表現の発達とその連続性を保障するアプローチ及びスタートカリキュラムの編成の必要性と,さらなる個人差の解明の必要性を議論した。