本論は,図画工作科の表現活動における,子どもの主体的な学びの実現を目指す指導方法の基本的な考え方の構築を目指し,その手掛かりとして教師の発問の構成について検討するものである。まず,主体的な学びの構造を仮説として立てる。具体的には,子どもが豊かなイメージとこれに基づく問いを形成し,その実現に向けて考え,試みていくものとした。次に,学びの構造と授業の構造は並行する関係にあると捉える。その上で,子どもの問いの形成を促し授業を方向付ける発問を授業構成レベルの発問として計画し,さらに,学習状況に応じて子どもの問いの実現を導く授業展開レベルの発問を計画することができると考えた。二つの授業実践研究からこの考え方は実現可能であること,さらに,題材の特徴に応じて発問を構成できることを確認することができた。