抄録
本研究は,対話型鑑賞の長期的影響と転移を質的に明らかにすることを目的とした。6 年間で20回の鑑賞授業「みるゲーム」を経験した小学校6 年生22名のインタビューデータを質的にコーディングし,資質・能力(言語能力/観察力/思考力・メタ認知/作品理解・他者理解)と転移(人間関係・生活/教科・探究/言語・国語/美術・メディア)のカテゴリを見出し,その関係性を整理した。児童は汎用的な資質・能力の伸長を自ら認識し,修学旅行や学級活動,他の教科での話し合い活動,そして図画工作の表現活動への転移について報告した。この結果は先行研究と整合的であり,美術教育として行われることの独自性は,スロー・ルッキングと「みる・考える・話す・聴く」の明示的プロセスに見いだされた。