日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ha03
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[3Ha01-10] フレーバー物質、色素
微少量の血漿サンプルからのカロテノイド定量法
*辻 詩音作田 ひかり石嵜 雄一笹原 由雅林 由佳子
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抄録

【目的】カロテノイドは,にんじんやほうれん草をはじめとする緑黄色野菜に多く含まれている脂溶性色素であり,強力な抗酸化作用を示す.これにより,がんの発生リスクを低下させる可能性が示唆され,さらに体内でビタミンAに変換される性質を持つことから,視覚機能の維持や免疫機能の調節にも寄与する成分だとされている.多くの研究では,ヒトの血中カロテノイド量を測定する際に,看護師による数十mL単位の静脈血採取の方法がとられている.しかし,この方法は被験者の負担が大きく,資格を有する看護師の確保が必要であるため,研究実施に制約が生じる.そこで本研究では,より簡便で被験者負担が少ない方法として,指先からの穿刺器具を用いた自己採血レベルによるカロテノイド測定法の開発を目的とした.

【方法】-75℃で保存した血漿サンプルを常温で解凍し,内部標準としてβ-アポ-8'-カロテナールを添加後,クロロホルム:メタノール=2:1 溶液を加えてボルテックス混合後,1時間静置した.次に,0.9%生理食塩水を添加し,遠心分離により下層のクロロホルム層を回収した.さらに残渣にクロロホルムを加え,同様の操作を2回繰り返して先のクロロホルム層と合わせた.抽出液をN₂ガスで乾固し,KOHでけん化処理を実施後,再度乾固し溶媒で再溶解した.得られた試料は,逆相クロマトグラフィーを用いて分離・定量を行った.

【結果】使用する血漿量を検討した結果,50 μLの血漿サンプルから,ルテイン,β-カロテンをはじめとするカロテノイドのピークを検出できた.検出されたピークは明確で,適切な標準品を用いることで血中カロテノイド濃度の定量が可能であった.穿刺具を使用した自己採血で50 μLほどの採血は可能である.これらのことから,本方法は,従来の静脈血採取に比べ,被験者の負担が軽減され,簡便かつ効率的に血中カロテノイドを測定できる可能性を示した.

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