日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
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シンポジウムB1: 地域食品研究のエクセレンス (全国食品関係試験研究場所長会・農研機構食品研究部門・産官学連携委員会共催)
島根県産食品のブランド価値向上に関する研究および支援
*永瀬 光俊
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p. 26-

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抄録

【講演者の紹介】

 永瀬 光俊(ながせ みつとし):島根県産業技術センター 企画調整スタッフ 主席研究員

 略歴: 1991年広島大学大学院工学研究科博士課程前期修了,同年島根県に入庁(工業技術センター,現産業技術センター).2011年博士(生命システム科学)取得,2023年より現職.

 ブランド価値とは、消費者や市場における信頼性、好感度、認知度、競争力などの総合的評価を指す。しかし、農林水産物・加工食品は、工業製品と異なり、安全性、健康への配慮、表示の信頼性、季節性、地域性(当該地域の自然、歴史、伝統に根ざす「地域らしさ」)が特に重要な要素となる。これにより、農林水産物・加工食品のブランド価値は複雑であり、その価値を高めるには様々な取り組みが必要といえる。1990年代前半以降、「地域ブランド」の概念が広まり、製品名とともに地域名もブランドとして認識されるようになった。この流れを受け、島根県では、2002年に「しまねブランド推進室」(その後課に昇格)を設置し、県産品の販路と消費の拡大を進めている。産業技術センターでも、県内企業の技術支援を通じた産業振興を目指し、県内の農林水産物・加工食品を地域のブランド価値として捉え、付加価値を高める技術の開発や、新商品開発に関する研究を続けてきた。その中で、今回は県魚であるトビウオの鑑定技術に関する研究および2018年から5年間行われた生物機能応用技術開発プロジェクトについて紹介する。

 島根県の特産品「あご野焼」は、トビウオを主原料とするかまぼこの一種で、2000年以降、ふるさと認証食品(Eマーク)制度によって品質が保証されている。しかし、外見からトビウオの使用が判断できないため、鑑定技術を開発した。研究の手順としては、主要なトビウオであるホソトビウオのミトコンドリア全塩基配列の決定を行い、それを元に、まずはPCR-RFLP法を用いたトビウオ類の定性的検出を試みた。次のステップとして, 画像解析法とリアルタイムPCR法という二種類の方法で定量的検出を試みた。そして、トビウオ類に関して形態的な特徴がなくても、また加熱等の加工がされていても、定性的、定量的鑑定が可能になった. すなわち、あご野焼Eマーク基準の分析法を確立することができた。また、同時にトビウオ類を用いた製品全般に関しても鑑定が可能となった。

 1995年から県内の農林水産資源を地域独自の素材ととらえ、その生理活性機能に着目することにより、付加価値を高めた新商品開発あるいは付加価値を高める技術開発に関する研究が開始された。当初は一般研究課題であったが、 1990年代に国内における健康食品市場は右肩上がりの急成長を続けたことから、県内の産業振興が期待できる重要課題としてプロジェクト研究に格上げされ、健康食品産業化プロジェクト(2003-2007)、機能性食品産業化プロジェクト(2008-2012)、高齢化社会対応の機能性素材開発プロジェクト(2013-2017)、生物機能応用技術開発プロジェクト(2018-2023)と続き、これまで様々な課題について20 年以上にわたり研究を重ねてきた。2018 年からの生物機能応用技術開発プロジェクトでは、競争力・付加価値の高い美容健康関連製品の開発がメインテーマとなり、1)生物機能(発酵・熟成技術)を用いた新規素材の開発・製品の開発支援、2)販路開拓(機能性表示・栄養機能食品開発及び届出支援)を行った。キクバヤマボクチの抗炎症作用やアケビの抗肥満効果を確認し、特許を取得。日本酒の美肌成分であるαEGや葛の地上部を用いた新製品開発も進行中で、津田かぶ由来の乳酸菌を利用したD アミノ酸を含むパウダー開発を行った。機能性表示食品の市場参入支援や健康博覧会への出展も行われ、新商品の開発が進められた。これらの取り組みにより、島根県産品のブランド価値と県内食品企業への支援が強化された。

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