主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】阿波晩茶は乳酸菌発酵が行われる後発酵茶である.微生物が代謝物を産生することで阿波晩茶特有の風味成分が形成されると予想されるが,その報告はない.本研究では,発酵液および製品茶葉の成分分析および,分離した微生物の性状解析を実施し,阿波晩茶の発酵過程における風味形成に関与する微生物の特定を目指した.【方法】発酵桶(No.1,No.2)から経日的に採取した発酵液(13サンプル)と各発酵桶の製品茶葉を試料とした. 茶葉および発酵液の成分分析 経日的に採取した発酵液の一般細菌数,乳酸菌数を測定した.分離した微生物はMALDI-TOF/MSを用いて菌種を同定した.発酵液と製品茶葉浸出液の不揮発性および揮発性化合物はLC-MS/MSまたはGC-MSを用いて測定した. カテキン分解能を有する微生物の探索およびカテキン代謝産物の解析 茶液に分離株を添加し培養した.経日的に採取した茶液のEGCGおよびEGCG分解物を測定した.【結果】No.1の発酵液ではアミノ酸がほとんど検出されず、No.2の発酵液と比較してアミノ酸の検出数は少なかった.一方で,揮発性化合物は多様であった.夾雑菌が継続的に10⁵ cfu/ml程度検出されたため、夾雑菌の風味形成への関与が示唆された.そこで抗菌性を有する茶カテキン類の濃度と組成を調査した.No.1の発酵液の茶カテキン濃度は発酵初期に顕著に低下し,カテキン検出数は11種類でありNo.2より少なかった.阿波晩茶分離株のカテキン分解能を調べたところ,No.1から分離したKlebsiella pneumoniaeはEGCGを分解しGCを生成することが示唆された.以上,K.pneumoniaeはEGCGを分解し発酵液を夾雑菌が生育可能な環境に変化させ,阿波晩茶の風味形成に影響を与えたことが示唆された.