抄録
目的: HIV感染症の治療の問題としてHAARTの副作用がある. Combivir (R) により高脂血症を呈し, フェノフィブラートが著効した症例を報告する.
症例: 28歳男性が, 急性虫垂炎で入院となった. 抗HIV抗体陽性, HIVRNA 8.64×104copies/ml, CD4160/μl, CD4/80.14, 総コレステロール (以下TC) 201mg/dl, 中性脂肪 (以下TG) 220mg/dl, LDLコレステロール120mg/dl, HDLコレステロール55mg/dlであった. ジドブジン, ラミブジンの合剤であるCombivir®とエファビレンツ (以下EFV) を開始後, HIVRNAは測定限界以下となり, CD4数も増加した. しかし1カ月後よりTC255mg/dl, TG406mg/dlと高脂血症を認め, EFVをネビラピンに変更したが, 改善せず, 18ヵ月後にはTC338mg/dl, TG2856mg/dlとさらに高値となったため, 21ヵ月後にプラバスタチンナトリウムを投与した. その後TCはやや低下したが, TGは低下しないため, 24ヵ月後にフェノフィブラートへ変更したところ, 両者ともに徐々に改善した. 運動療法, 食事療法も行い, 現在TC200-230mg/dl, TG240-300mg/dlで推移している. 結論: 高脂血症はHAARTの重大な副作用の一つである. 本例ではEFVの変更では高脂血症は改善せず, Combivir®によるものと考えられ, プラバスタチンナトリウム投与後, フェノフィブラートに変更して改善した. PI非使用例でも高脂血症をきたすことがあり, 定期的なモニタリングを行う必要がある.