抄録
更新世海成段丘群の高度にもとづいて, 角田·弥彦山塊の傾動方向を求めるとN53°W∼N55°Wとなる. この方向は, 新潟地震(1964年, M7.5)を挟んだ, 1960年から1965年にかけての水準測量結果から算出した傾動方向N51°Wと一致し, 山塊の傾動運動は現在も続いており,それらが近傍やいく分離れた地域で発生した大きな地震の際に累積したことを示している. 一方, 小起伏面からなる角田山頂は, 山塊の傾動方向と異なり, 東に緩く傾いている. 新潟県沿岸地域では, 現在の傾動運動が中期更新世初頭(約0.6Ma∼0.7Ma)に開始したこと(仲川, 1997)に着目すると, 小起伏面はそれ以前に形成されたもので, 東への傾きは中期更新世以前の運動の方向を示していると考えられる.