抄録
国際原子力機関(IAEA)が収集·公開している降水の安定同位体のデータ(GNIP)と、Global Daily Summary収録のクイアバの日降水量データ(1978∼1987年)、およびブラジル国立宇宙研究所/天気予報気候研究センターより入手した日降水量データ(1961∼1977年)を用いて、安定同位体と降水量の関係について調べた。δ18Oと月降水量は負の相関関係にあり、月降水量が多いと降水が軽くなる傾向がある。しかしながら、相関係数(r=−0.43)は統計的に有意ではなく(危険率5%)、月降水量が多くても降水が重い年もある。これは、同じ月降水量であっても一度に大量に降るか、少量ずつ何回かに分けて降るかといった、雨の降り方の違いが原因だと考えられる。そこで、24時間以上降水が見られなかった場合を一雨雨量とし、ある閾値以上の一雨雨量が見られた日数とδ18Oの関係を調べたところ、10mm以上の降水日数との間に有意な負の相関関係が見られた(r=−0.55、危険率5%)。