日本地理学会発表要旨集
2002年度日本地理学会秋季学術大会
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事務組合方式によるため池の保全 岐阜県可児川防災等ため池組合を例にして
内田 和子
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p. 61

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抄録
ため池をめぐる問題の中で、保全と活用は重要な課題の1つである。岐阜県南東部の可児川流域では、3つの市町が事務組合を結成して10のため池を管理している。この地域は洪水と旱害の多い土地で、それらの対策として、1947年から国の補助事業によって9つのため池を築造し、治水と農業用水の確保を行っている。多目的ダムとしての機能を果たす9つのため池は、制限水位方式で洪水調節を行うとともに、後に築造された1つの利水専用ダムと合わせて下流域の農業用水を供給している。3市町を組合員とする組合は、洪水期の洪水調節と農業用水の安定供給、ため池の補修·点検を行っている。これらの費用は3市町が、受益面積·河川長·人口に応じて分担している。このような方式は業務面ではダム統合管理に近く、組織面では水防組合に近いと言える。現在、多くのため池の維持管理が粗放化している中で、この方式は確実にため池を維持管理できる方策として評価できる。
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© 2002 公益社団法人 日本地理学会
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