日本地理学会発表要旨集
2018年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 727
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発表要旨
長距離自然歩道のクラウドGISによるナショナルトレイル構想
*原 雄一
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抄録
長距離自然歩道は1974年度に東京都高尾山から大阪府箕面の森までの歩く道として誕生した。高度成長期の中で発生した公害や自然環境の劣化に対して、各地の山地や里集落、街道を歩くことで自然との係わりや健康を維持することなどが目的である。その後、九州、中国、四国、首都圏、東北、中部北陸、近畿、北海道、東北太平洋岸へと全国に広がり、計画総延長距離は26,752kmに及ぶ。計画は環境省が行い、管理は都道府県など地元自治体が実施する。2005年以降は、国立公園特別地域あるいは利用者数の多いルートについては、自治体との協議により、環境省が直轄で整備することになった。本稿では、長距離自然歩道の現状と課題をとりまとめ、クラウドGISによるナショナルトレイルとしての活用策について報告する。
長距離自然歩道のルートのクラウド環境への移行は、東海、九州、中国、四国、近畿の5地域まで完了している。今後、他の5地域に進展させていく。また、分断しているルートを一本につなげ、日本列島を縦断する歩く道に発展する計画である。ロングトレイル、フットパス、オルレなど歩く道の文化が海外からも紹介され、歩くことのニーズが高まっている。一方で、長距離自然歩道の潜在的な魅力が十分に広まっていない状況であり、ナショナルトレイルとしての基盤を構築していく必要性を感じている。GPS衛星のみちびきの効果により、位置の精度が向上することから、道迷い防止の効果など山岳遭難にも活用が期待できる。
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