2018 年 10 巻 1 号 p. 75-78
症例の概要:初診時61歳,女性.上顎前歯部の動揺と喪失に対する不安を主訴に来院.上顎中切歯の抜歯と同時に即時義歯を装着し,また,全顎的な慢性辺縁性歯周炎に罹患していたため,外科処置を含む歯周治療を行ってから,最終補綴である上顎部分床義歯を製作した.
考察:鋳造補強構造を義歯床と人工歯内部に埋入したことで,義歯の破損を防ぎ,また継続して歯周治療を行ったことで,良好な結果が得られたと思われる.
結論:上顎前歯部喪失に対し,強い不安感を持つ患者において,不安に配慮し,破損しにくい義歯の製作と継続した歯周治療を行ってきたことで,前歯部の人工歯と残存歯の両方の喪失を防ぐことができた.