2018 年 10 巻 2 号 p. 151-154
症例の概要:患者は57歳男性.歯肉の腫脹と咀嚼時の咬合痛による審美不良および咀嚼困難を主訴に来院した.糖尿病を伴う重度歯周炎と診断し,保存不可能な多数歯を抜去後,総義歯補綴治療を行い,咀嚼機能と審美性の回復を図った.
考察:多数歯抜去前に,徹底した歯周病治療と,義歯床馴化用レジン床の装着を行った.多数歯抜去後に即時総義歯を装着し,粘膜の回復を待ちながら,義歯調整を行って順応期間を経たことが,最終義歯補綴治療の良好な結果に繋がったものと考える.
結論:義歯装着未経験の重度歯周病患者に対して,入念な前処置を行った後に,総義歯補綴治療を行い,咀嚼機能と審美性の回復を図ったことで,主訴の改善と良好な経過を得た.