2018 年 10 巻 2 号 p. 167-170
症例の概要:患者は71歳の女性.顔面・手指に発赤・痒みを自覚し,皮膚科へ通院するも症状は軽快しなかった.これまでの歯科金属アレルギー治療の原則は,アレルゲンの同定確定とそのアレルゲンを含む金属修復物の完全除去にあるとされている.本症例では金属修復物を,段階を経て除去し,歯冠補綴治療を行うことにより症状の改善を図った.
考察:歯性病巣感染の軽快により金属アレルゲン吸収量が減少したことも,症状改善の一因と考えられた.このことから本症例でのアレルギー症状の原因は歯科金属アレルギーの関与が大きいものと考えられた.
結論:歯科用金属に対して感作されるアレルギー症状には,経過観察を踏まえた歯科金属の部分的な除去が有用であることが示唆された.