2018 年 10 巻 2 号 p. 171-174
症例の概要:患者は57歳・女性.下顎右側犬歯の疼痛を主訴に来院した.全顎的な重度の歯周疾患を抱え,咬合崩壊に直面していた.歯周治療を中心に,残存歯の偏在した歯列にはインプラントを用いて新たな咬合支持を獲得,不安定な下顎位をゴシックアーチ描記法により適正な位置に設定し,最終補綴を行った.
考察:術後経過においては,根面カリエスを呈したが,テレスコープ義歯の利点を活かすことで,咬合支持は良好に維持されている.
結論:残存歯が偏在した歯列に,少数のインプラントを配置して咬合を再構成した可撤性補綴はメインテナンスに優れ,予知性の高い補綴手法であった.