2018 年 10 巻 3 号 p. 259-262
症例の概要:患者は75歳男性.繰り返す義歯破損と疼痛による咀嚼困難を主訴に来院した.咬耗を原因とする咬合高径の低下および下顎左側偏位を改善する目的で治療用義歯を装着し,3カ月のリハビリテーションを行い咬合の安定を確認した後に最終補綴処置を行った.定期的なメインテナンスにより経過は安定している.
考察:治療用義歯装着後リハビリテーションを行い,下顎位と咬合の安定をはかることで最終補綴処置による咬頭嵌合位の設定を的確に行うことができた.
結論:咬耗に伴う低位咬合と下顎の偏位を呈する症例に対して,治療用義歯を応用することで良好な予後が得られた.