2018 年 10 巻 4 号 p. 308-313
超高齢社会においては,義歯関連治療の特徴的なニーズがある.すなわち高齢化や障害のために義歯への適応力が低下した患者であるにも関わらず,義歯調整であれば処置の即効性と永続性が,新義歯作製であればすぐに適応してくれる義歯の作製が望まれる.
このような場面での義歯関連治療はシンプルにかつ高いレベルで行われる必要がある.総義歯患者が比較的若かった過去の時代と比較すると,患者年齢層高齢化に起因する口腔周囲筋群の巧緻性低下と食介護を想定した総義歯治療の新たな概念が必要とされている.このような背景に適合した義歯概念と診断法を適切に組み合わせれば,超高齢者の総義歯治療は論理的かつ確実に効果をあげることができる.