2018 年 10 巻 4 号 p. 361-364
症例の概要:患者は45歳の女性.1年前に装着した義歯での咀嚼困難を主訴に来院した.上顎は床後縁の設定を考慮し総義歯を,下顎は患者の舌感を考慮したテレスコープ義歯を用いることで咀嚼困難を改善し,口腔関連QOLも改善した.
考察:上顎総義歯は,嘔吐反射を惹起しないポイントまで後縁を削合した.3年経過時においても経過は良好であるが,床の破折リスクを考えれば,補強線を口蓋床部に設定する予防的処置が可能であったと考える.咬耗による咬合関係の変化および粘膜面適合性については今後も慎重な経過観察が必要である.
結論:本症例に対して,総義歯およびテレスコープ義歯によって咀嚼困難および口腔関連QOLを改善した.