2020 年 12 巻 1 号 p. 29-35
部分欠損歯列の治療オプションとしては,従来型の部分床義歯,固定性インプラント補綴装置,短縮歯列(SDA),そしてImplant-assisted Removable Partial Denture(IARPD)などが挙げられる.欠損部顎堤にインプラントを埋入して支台とするIARPDでは,義歯の動きが抑制されて安定性が向上し,義歯形態の単純化,審美性の向上という点で従来型より優れる.また,固定性インプラントの比較においても,外科的侵襲性,経済的コスト,組織形態回復の自由度,メインテナンスの簡便性などの点で優れる.しかし,現時点ではIARPD治療の標準的なプロトコールは確立しておらず,エビデンスも充実しているとはいえない.本稿では,このIARPDについて,特徴や文献的考察,臨床におけるポイントなど,多角的な視点から情報を整理してお伝えしたい.