2020 年 12 巻 1 号 p. 95-98
症例の概要:患者は64歳男性.下顎部分床義歯の不調を訴え来院した.Eichner 分類はB4.旧義歯は維持装置の破損,人工歯の著しい摩耗,残存歯の挺出および咬合高径の低下が認められた.治療用義歯により適正な咬合位を模索し,再評価後に最終義歯を製作し,3年経過時においても良好な予後を得られている.
考察:臼歯部の咬合支持を喪失した多数歯欠損症例において,治療用義歯を用いて形態的,機能的に許容される咬合位を模索することで,最終義歯の咬合位の設定を的確に行え,咬合の安定と良好な予後が得られたと考えられる.
結論:咬合再構成の必要な多数歯欠損症例において,治療用義歯の使用は効果的であった.