2020 年 12 巻 4 号 p. 348-351
症例の概要:患者は75歳女性.(6)54(3)21|ブリッジの脱離を主訴に来院し,上顎左側中切歯と下顎右側中切歯間のみが残存歯同士で咬合接触をしていた.下顎部分床義歯の不適合による咀嚼困難と上顎前歯部欠損による審美不良と診断した.デンチャースペースの不足に対して治療用義歯による咬合挙上を行った後に,FGPテクニックと咬合圧印象を応用し,最終補綴装置として上下顎金属床義歯を製作した.
考察:FGPテクニックと咬合圧印象を応用することで,治療用義歯によって得られた情報を最終義歯へ移行することができたと考えられる.
結論:3年経過時の客観的・主観的機能評価は良好であり,本症例の欠損補綴治療が有効であったことが示唆された.