2021 年 13 巻 2 号 p. 146-149
症例の概要:患者は39歳の男性,重度歯周炎による咀嚼障害・審美障害を主訴に来院した.歯周治療を行い,全顎的な歯周ポケットの改善に成功した.臼歯部の咬合関係は変えずに,前歯部の挺出やフレアーアウトを補綴前処置にて是正した後に,プロビジョナルレストレーションで咬合を再構成し,固定性補綴装置で最終補綴を行った.
考察:歯周治療へのモチベーションを維持できたこと,プロビジョナルレストレーションの形態・咬合を最終補綴に反映させたことが安定した予後につながった.
結論:重度歯周病患者に対して,歯周治療と咬合改善を含めた包括的治療と管理を行うことで,固定性補綴装置を長期にわたって維持できることが示唆された.