症例の概要:78歳の女性.咀嚼困難を主訴として来院した.残存歯は64|25,32|3であり,パノラマエックス線写真と歯周組織検査の結果から重度歯周炎が認められた.部分床義歯において支台装置不適合と下顎人工歯の咬耗が認められ,維持・安定が不良であった.上顎は全部床義歯,下顎はImplant overdenture(以下IOD)を製作することとした.なお,メタルフレームを用いる設計とした.
考察:本症例において義歯の維持,安定をインプラントに求めたことが咀嚼能力の向上とQuality of Lifeの向上につながったと考えられる.
結論:上下顎無歯顎症例において,下顎IODを用いることで咀嚼障害が改善され,高い満足度が得られた.