症例の概要:患者は69歳女性.上下全部床義歯を装着していたが,中咽頭癌術後に義歯の維持,安定の低下により食事が困難となり当科を受診した.右舌半側切除術後のため舌運動障害による構音,摂食嚥下障害が認められた.そこで,上下顎全部床義歯を新製し,上顎義歯を舌接触補助床(PAP)にする方針とした.
考察:機能評価とリハビリテーションを行うことで,PAPに適正な研磨面形態の付与が可能となったことに加え,日常訓練の意欲も向上し,治療効果をより引き出すことができたと考えられる.
結論:本症例では,中咽頭癌術後による舌運動障害に対して義歯型PAPを製作し,リハビリテーションを継続することで構音および摂食嚥下機能が改善された.