日本補綴歯科学会誌
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専門医症例報告
中咽頭癌術後の構音,摂食嚥下障害に対して全部床義歯による舌接触補助床を用いた症例
伊藤 達郎
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2021 年 13 巻 2 号 p. 170-173

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抄録

症例の概要:患者は69歳女性.上下全部床義歯を装着していたが,中咽頭癌術後に義歯の維持,安定の低下により食事が困難となり当科を受診した.右舌半側切除術後のため舌運動障害による構音,摂食嚥下障害が認められた.そこで,上下顎全部床義歯を新製し,上顎義歯を舌接触補助床(PAP)にする方針とした.

考察:機能評価とリハビリテーションを行うことで,PAPに適正な研磨面形態の付与が可能となったことに加え,日常訓練の意欲も向上し,治療効果をより引き出すことができたと考えられる.

結論:本症例では,中咽頭癌術後による舌運動障害に対して義歯型PAPを製作し,リハビリテーションを継続することで構音および摂食嚥下機能が改善された.

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