2021 年 13 巻 4 号 p. 349-352
症例の概要:73歳男性.下顎義歯の不適合により咀嚼困難を訴え来院した.上顎は多数の歯が保存可能であったが,下顎はすべての歯が保存困難な状態であった.治療用義歯を用いて咬合の安定を図った後に最終補綴装置として,上顎にブリッジと部分床義歯,下顎に全部床義歯を製作した.
考察:安定した治療用義歯の形態を移行することで予知性の高い最終補綴装置の製作が可能であり,口腔に関連するquality of life,義歯に対する満足度と咀嚼スコアの改善ができた.
結論:加圧因子と受圧条件がインバランスな欠損状態に対し,治療用義歯を用いて咬合の安定を確認し,補綴装置の製作を行うことで良好な結果を得ることができた.