2021 年 13 巻 4 号 p. 345-348
症例の概要:29歳の女性,摂食障害に伴う酸蝕症による,審美的な問題および咀嚼困難を主訴に来院した.全顎的に歯冠崩壊が生じ,咬合高径の低下が認められた.平均的歯冠長を参考に咬合挙上量を設定し,オクルーザルオーバーレイスプリント,プロビジョナルレストレーションにて経過観察後,犬歯誘導咬合を付与したオールセラミッククラウンを装着した.
考察:歯を削合することなく装着可能な,可撤性オクルーザルオーバーレイスプリントは,精神的に不安定な摂食障害患者における咬合治療に有効であると考えられた.
結論:摂食障害に伴う重度酸蝕症に対し,可逆的アプローチによる顎位決定法を適応し,補綴処置を行った結果,良好な結果が得られた.