2021 年 13 巻 4 号 p. 361-364
症例の概要:患者は85歳女性.下顎総義歯による疼痛と,咀嚼困難感,発話時の義歯の動揺を主訴に来院した.下顎臼歯部の顎堤は著しく吸収しており,義歯の維持安定が得られにくかった.使用中義歯の調整とダイナミック印象で得られた義歯形態を最終義歯に反映させるために,複製義歯を製作し新義歯を製作した.
考察:複製義歯を用いたことで,旧義歯で得られた機能的な義歯形態を保存し新義歯に反映することができ,かつ複製義歯により印象採得,咬合採得を行ったことで,患者は義歯製作中も旧義歯を使用し続けることができた.
結論:顎堤吸収の進行した症例において,旧義歯を修正して得られた良好な形態を複製義歯により保存したことで,良好な結果を得ることができた.