2022 年 14 巻 2 号 p. 177-180
症例の概要:初診時60歳女性.上下顎残存歯の動揺,咀嚼時の顎の痛みによる咀嚼困難および審美不良を主訴に来院した.検査の結果,前歯部補綴装置脱離による審美障害,重度辺縁性歯周炎および顎関節症による咀嚼障害と診断した.
考察:補綴歯科治療前に顎関節症を改善し,再発を防止した.その後口腔機能の回復のために治療用義歯および最終義歯による安定した咬合を確立し,適切な咬合機能を回復したことが良好な長期予後に繋がったと考えられる.
結論:顎関節症に対する継続した管理,治療用義歯による機能的に問題の生じない下顎位を探索し最終補綴装置製作に反映させることで,咀嚼障害および審美障害を改善し,良好な予後および患者の高い満足を得ることができた.