2022 年 14 巻 3 号 p. 277-280
症例の概要:75歳男性.義歯が外れやすく,食事がしにくいことを主訴に来院した.上顎は無歯顎で,左側に顎欠損を認め,皮弁による再建が行われていた.顎義歯の維持は得られていなかったため,新義歯を製作することとした.栓塞部は欠損部のアンダーカットまで延長し,中空型とした.
考察:欠損部アンダーカットへの中空型栓塞部の延長による顎義歯の維持・安定の獲得と,適合性の改善,顎義歯の軽量化による維持力の向上が良好な結果に繋がったと考えられた.
結論:顎欠損により皮弁での再建を行った無歯顎症例において,欠損部アンダーカットに維持を求め,中空型栓塞部を用いたことで良好な経過が得られた.