2023 年 15 巻 1 号 p. 93-96
症例の概要:患者は67歳男性.頻回の義歯破損による咀嚼困難を主訴に来院した.残存歯の状態から複合すれ違い咬合を呈していた.過度の加圧因子に耐えうるために上下顎義歯に金属床を応用することにより,義歯の安定,主訴であった咀嚼機能改善を行った.
考察:すれ違い咬合は,咬合支持の喪失により受圧条件としての顎堤状態や加圧因子である残存歯からの影響が大きいため,口腔内の状態変化に特に注意する必要があり,咬合調整やリラインなどの積極的な介入が重要であると考える.
結論:複合すれ違い咬合に対して剛性および強度を得るため金属床義歯を応用し,口腔内環境の変化を最小限にしたことにより長期安定が得られたと考える.