2024 年 16 巻 1 号 p. 147-150
症例の概要:臼歯部の咬合支持を喪失した多数歯欠損症例において咬合平面と水平的な顎位の設定は重要である.本症例は,上顎無歯顎,下顎両側遊離端欠損に対し上顎全部床義歯のみ装着し,臼歯部咬合支持を喪失した状態で長期期間経過していたため,顎位の不安定と咬合平面の不正を認めた.
考察:本症例では咬合平面の修正,臼歯部咬合支持の確立を行ったのち,ゴシックアーチ描記法にて水平的顎位の評価をし,新義歯を製作したことで適正な下顎位を獲得することができた.
結論:プロビジョナルレストレーションと治療用義歯を使用し,ゴシックアーチ描記法を用いて評価し,補綴装置製作に取りかかることができたため良好な結果が得られた.