2024 年 16 巻 4 号 p. 406-412
栄養教育の重要性が増しており,高齢者向けの歯科医療も口腔機能の維持・回復を中心とする治療に転換していく必要がある.栄養不良は医療現場で一般的な問題であり,栄養を理解することは医療従事者にとって重要である.医療従事者への栄養教育の不足が国際的にも認識されており,歯科においても栄養教育の充実が求められている.栄養不良は低栄養と過栄養の両方が問題であり,日本でも高齢者における低栄養と過栄養の共存が新たな課題となっている.栄養不良の指標や影響,栄養素の相互変換やエネルギー代謝についての知識は高齢者の健康管理に重要であり,至適栄養を実現するためにはバランスの取れた食事が必要である.また,身体活動量や目標体重に合わせた栄養摂取量の設定を,歯科医師も理解しておくことが今後重要となる.
本総説は,2024年1月に開催された日本補綴歯科学会関西支部生涯学習公開セミナーにおける講演内容を要約したものである.