日本補綴歯科学会誌
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第120回記念学術大会 臨床リレーセッション2 「欠損歯列を読む:治療結果に影響する因子を探る」
それでもパーシャルデンチャーを選択するとき
鷹岡 竜一
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2012 年 4 巻 2 号 p. 170-177

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抄録

近年のインプラントの発展はめざましく,その生存率も格段に高くなっている.インプラントを応用すれば,従来ブリッジで対応していたような少数歯欠損症例はなくなり,現在ではパーシャルデンチャーの適応であった多数歯欠損症例への応用も見られ,クラウンブリッジで対応できる歯列へ改変されている.しかしながら歯科疾患は慢性疾患であり,処置方針も経過の良否も患者の個別性に色濃く影響を受けると言われている.欠損歯列も類に違わず画一的・永続的な処置方針は選択が難しく,術者が製作するパーシャルデンチャーに次の一手という設計を組み込む理由も理解できる.言い換えれば年齢とともに変化してゆく生体への対応を加味しているのかもしれない.本稿では欠損歯列の難症例といわれている咬合三角第III エリアに突入している3症例を提示し,患者の個別性を配慮しながらそれらの症例が本当に難症例なのかを検証してみたい.また欠損歯列の改変の必要性を考察しながら,従来法であるパーシャルデンチャーの可能性と限界を探ってみたいと考えている.

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© 2012 社団法人日本補綴歯科学会
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