抄録
摂食・嚥下障害に対する臨床を行う上で,歯科や口腔機能のもつ可能性を考慮することは非常に重要である.本稿では,周知の摂食・嚥下リハビリテーションにおける機能評価や訓練内容についてではなく,食べることを全身機能と考えること,歯科独自の視点の必要性を理解するための基礎的知識について解説する.また,これまでのほとんどの機能研究が咀嚼または嚥下のみに特化していたが,口腔機能・咀嚼機能と嚥下機能の機能連関に注目することの面白さを考え,臨床への足掛かりとするためのヒントにする.最後に,口腔ケアをどのように考えるかについての更なる知識の整理をしたい.