抄録
症例の概要:患者は52 歳女性.左側顎関節部の疼痛を主訴に受診した.12 ~ 13 年前,上下顎右側欠損部に部分床義歯を製作したが,使用せず放置していた.顎位の偏位が疑われたため,上顎に治療用義歯を下顎に有床型のスプリントを装着し,咬合支持と顎位の改善を図り,再評価後,全顎的な最終補綴を行った.
考察:義歯による咬合支持の確立,およびスプリント療法による顎位の修正により,全顎的な咬合の再構築を行った結果,顎関節や咀嚼筋の症状が改善したと考えられる.
結論:臼歯部での咬合支持を失ったことで顎関節症を発症したと考えられる症例に対し,臼歯部の咬合支持の確立と適切な顎位を与えることで良好な治療結果が得られた.