抄録
目的:口腔関連Quality of Life(QoL)の有効な評価方法であるOral health impact profile短縮版(OHIP-14)は口腔内の状況や口腔機能に影響されるが,精神・心理的な影響についての報告は少ない.本研究は,地域在住の自立高齢者におけるOHIP-14と口腔内の状況,社会的な背景,さらに精神・心理的な背景との関連性について検討した.
方法:北海道余市町の自立高齢者に対して実施された口腔健康調査において,OHIP-14の回答に欠測のなかった177名(平均74.6±4.2歳)を対象とした.口腔内の状態や機能評価のために診察と検査を行い,質問表を用いて,性別,年齢,全身および口腔内の健康状態と社会的な背景を調査した.精神・心理的な背景としては,改訂版Philadelphia Geriatric Center(PGC)モラールスケールとNeuroticism Extraversion Openness Five-Factor Inventory を用いて評価した.統計解析には,OHIP-14を従属変数とし,ロジスティック回帰分析を行った.
結果:OHIP-14は口腔健康状態の自己評価,舌痛,残存歯数,改訂版PGCモラールスケールと有意な関連が認められた.
結論:地域在住の自立高齢者において,口腔関連QoLは,口腔内の状況や社会的背景,精神・心理的な背景と関連があることが示唆された.