日本補綴歯科学会誌
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原著論文
実験的に咬合接触を除去した歯列における咀嚼時の咀嚼筋活動
南 慎太郎菊池 雅彦坂本 智史岩松 正明
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2015 年 7 巻 3 号 p. 240-248

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抄録
目的:少数歯欠損の短縮歯列症例に対する治療方針は,積極的に補綴処置を行うか,放置しても問題がないとするかで対極的に分かれる.そこで本研究では,短縮歯列の機能的特徴を評価するために,短縮歯列で咀嚼した際の咀嚼筋活動への影響について検討した.
方法:被験者は健常有歯顎者8名である.はじめに,各被験者の下顎に 7+7 のレジン製スプリントを作製し,その後,スプリントの臼歯部を後方から順次削除して 6+65+5 の短縮歯列をシミュレートした.3種類のスプリントをそれぞれ装着した状態で,ライスまたはビーフジャーキーを咀嚼させ,咀嚼開始から嚥下終了までの筋活動を,咬筋,側頭筋から導出し,7+76+65+5 のスプリント間で筋活動量,総咀嚼回数を比較した.
結果:歯列が短くなるに従って,総筋活動量は増加する傾向が認められた.また,歯列が短くなるにしたがって,咀嚼回数も増加する傾向があった.短縮歯列で咀嚼した際の咀嚼筋活動への影響は,6+6よりも 5+5 が大きかった.一方,1回の咀嚼に要する平均筋活動量はほぼ一定であった.
結論:全ての大臼歯の咬合支持が失われた短縮歯列への補綴処置の有用性が示唆された.
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© 2015 社団法人日本補綴歯科学会
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