日本補綴歯科学会誌
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原著論文
高透光性モノリシックジルコニアクラウンの色調に関する研究
―ジルコニアの厚さと支台(材料)およびセメントの透過性の違いによる影響―
横上 智一志 恒太城戸 寛史佐藤 博信
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2015 年 7 巻 4 号 p. 363-370

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抄録

目的:ジルコニアの透明性向上にともない,咬合面まですべてジルコニアで作製したモノリシックジルコニアクラウンが普及しつつある.透明性があるため支台が金属である場合,審美性への影響が懸念されるが,どの程度影響があるのかは明らかでない.本研究の目的は金属支台に接着するセメント色とジルコニアの厚さによる色調への影響を調べることである.
方法:半焼結の高透光性ジルコニアを直径10 mm,厚さが0.5 mm,1.0 mm,1.5 mm,2.0 mmになるよう切削した.完全焼結後,金属支台にレジンセメントのトライインペーストを介在してジルコニア試料を載せ,分光光度計で色調を測定した.トライインペーストには透過性が高いユニバーサル色と透過性が低いオペーク色の2色を使用した.支台築造用レジン上にユニバーサル色のトライインペーストを介在させた試料をコントロールとした.測定したL*a*b*から⊿Eを算出しコントロールとの色差を評価した.
結果:コントロールとの色差⊿Eは,金属支台にオペーク色を使用し,厚さが1.5 mm,2.0 mmの場合で1.6以下であったため臨床的に色の違いはなかった.金属支台のペースト色の違いによる比較では厚さ1.5 mmの試料を除いて,ペーストの色の違いが色差⊿Eに有意に影響を及ぼした.
結論:金属支台に対して高透光性モノリシックジルコニアクラウンを装着する際,厚さが1.0 mm以下になると,レジン支台に装着した場合と比較して臨床的に色の差がみられることが示された.

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© 2015 社団法人日本補綴歯科学会
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